ちょっとしたことで再発
小児アトピーは、大人になって生活環境や体質が変わることで軽くなることも多いです。しかし完治することはなかなか難しく、症状が軽くなってもさまざまな名残(後遺症とまでは言わないにしても)に悩まされることもあります。
私自身、物心つく前からアトピーを発症し、小学校高学年をピークにずっとアトピーと付き合い続けています。症状が軽くなった今もちょっとしたことで再発する痒みや、傷跡は完全には消えていません。ピーク時は衣服に血やリンパ液がにじんでしまったり、夜痒みのあまり目が覚めたり、お風呂でお湯に触れるのが痛くて歯を食いしばったりと、辛い思いをしていました。
炎症部位はひじやひざの内側、首筋、鼠径部と腰と限られてはいましたが、しょっちゅう掻いたり擦ったりして炎症の度合いは、中程度だったと思います。小学校のクラスにはもう一人アトピーの男の子がいて、その子は顔を含めた全身に炎症が出ていて、カサカサと白く粉を吹いていました。
彼がクラスメートから心無い言葉をかけられているのを見て、私の心も深く傷つき、「アトピーであることを知られたくない」、「炎症の起きた肌を見られたくない」、ととても内向的になってしまいました。他人に見られてしまう皮膚の疾患は、ときに心も弱らせてしまうようです。この頃に比べて随分と軽くなった炎症ですが、汗をかく季節には思いだしたかのように痒みが再発します。
大人になっても小学生の頃と同じ
ひじやひざの内側、首筋、鼠径部や腰といった部分は、汗をかきやすかったりかいた汗が溜まりやすかったりするところです。汗の塩分や湿度が刺激になって、痒みが出るようです。汗疹かアトピーかの判断はつきませんが、汗を洗い流してもぶり返してくるしつこい痒みは、小学生の頃のものと同じように感じます。
この痒みが出たときは、とにかく刺激物を肌から取り除き、決して掻いたり擦ったりしないようにしています。そしてこれは私の考えですが、ステロイドには頼らないことも大切です。一度どうしても痒みを我慢できなくなったとき、処方されたステロイドをごくわずか、薄く塗ったことがあります。
その時は痒みも治まり良かったのですが、その後のぶり返しが酷かったのです。中毒になったように、塗らずにはいられないほどの痒みに襲われたのです。炎症が出ていない時期も、昔のアトピーによる色素沈着や肌のシワに悩まされています。色素沈着もある程度ならアトピーの軽症化とともに薄まっていくのですが、私の場合、繰り返し狭い範囲に刺激を与えてしまったため、その沈着が根強いようです。自分の体質を恨んでも仕方がないのですが、アトピーが無かったらあれがしたかった、これがしたかったということは考えてしまいます。
<この記事はアトピーの方の体験談です>
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